--- title: 進級前に今の一日の流れを書き残す description: 進級前は、できることの一覧より先に、登園、活動、食事、休息、帰宅の流れを今の順番で残します。続いている手がかりと変わる予定を分け、新しい担任へ渡す準備をします。 date: 2026-08-08 phase: preschool category: 入園・就学・進級 perspectives: [周りの人] tags: [引き継ぎメモ] draft: false og_image: assets/images/phase-preschool-communication-v2.png --- 進級前に本人の今を残す時は、できることの一覧より先に、一日の流れを書きます。「登園」「活動」「食事」「休息」「帰宅」の五つへ分け、本人がしていることと周りがしていることを一つずつ置きます。 この一枚で、新しい担任への正式な引き継ぎを済ませるものではありません。園が作る記録や支援計画を置き換えず、家庭が面談で確かめたい場面を整理するために使います。進級後の担任や環境は、園の正式な案内を確認します。 ## 今の一日を普段の順番で書く 最初に、行事のない普段の一日を一つ選びます。理想の順番や進級後の予定ではなく、今の園で実際に過ごしている順に書きます。 家庭から見えない時間は、園へ分かる範囲で尋ねます。活動名をすべて聞くのではなく、本人が次の場所へ移る合図を中心にします。 登園後にかばんを置く、写真を見て活動へ移るなど、本人が自分でしている動きを一つ残します。先生が声をかける、物を近くへ置くといった周囲の関わりも別の欄にします。 日によって流れが違う場合は、一番多い日を一つ書きます。曜日ごとの差は、下に例外として一行だけ添えます。 ## 本人の動きと周りの手がかりを並べる 一日の五場面を、本人と周りの二列へ分けます。本人がしていることを「自立している」「支援が必要」と評価せず、見えた動きで書きます。 | 場面 | 本人がしていること | 周りがしていること | |---|---|---| | 登園 | 玄関で靴を脱ぎ、棚へ向かう | 先生がかばんの場所を指す | | 活動 | 写真を見たあと机へ移る | 次の写真を一枚見せる | | 食事 | コップを見て席へ向かう | 先生が隣から声をかける | | 休息 | 窓側の敷物へ座る | 周囲の物を少なくする | | 帰宅 | かばんを持って玄関へ行く | 家族の写真を見せる | この表は書き方の例です。本人がしない動きを加えたり、園へ同じ対応を求めたりするための見本ではありません。 本人の動きが分からない場面は、空想で埋めず「園へ確認」と書きます。分からないことが見えるのも、進級前メモの役割です。 ## 続けたい手がかりへ丸を付ける 五場面を書いたら、進級後も残せるか確かめたい手がかりへ丸を一つ付けます。写真、実物、先生の短い声かけなどです。 本人が使っているからといって、同じ物を必ず新しい教室へ移せるとは限りません。園の運用やほかの子どもの過ごし方もあるため、面談で相談します。 続けたい理由は「これがないとできない」と決めつけず、今の場面を書きます。「写真を見たあと机へ移ることが多い」と伝えます。 家庭でも使っている物がある場合は、そのことを別に添えます。園と家庭で同じ手がかりを使うかどうかは、次の担任と相談して決めます。 ## 変わる予定を別の欄へ出す 進級後に教室、担任、登園場所が変わることがあります。まだ決まっていないことを今の流れへ混ぜず「変わる予定」の欄へ出します。 園から正式に案内されたことと、家庭が予想していることを分けます。「教室は二階へ変更予定」と「担任は未確認」のように書きます。 変化が多い時も、すべてを写真や説明へ加えません。本人へ最初に伝える必要がある場所か人を一つ選びます。 写真を用意する場合は、撮影してよい場所と時期を園へ確認します。ほかの子どもや家族が写らないようにし、家庭内での保管方法も決めます。 ## 面談では三つだけ確かめる 進級前の面談では、一枚から三つを選びます。「今もこの流れか」「丸を付けた手がかりを相談できるか」「変わる予定で未確認のことは何か」です。 園から別の優先事項が示された場合は、その説明を聞き、一日のどの場面に関係するかを確かめます。 できることの増減を中心に話す場合も、家庭のメモでは生活場面へ戻します。「着替えが一人でできるか」だけでなく、どの場所で誰が服を用意しているかを聞きます。 正式な引き継ぎ資料へ何が記載されるかは、園へ確認します。家庭の一枚をそのまま提出する必要があるかも、自己判断せず尋ねます。 ## 進級後は最初の一週間だけ比べる 進級後は、旧担任の方法を再現できたかで採点しません。五場面のうち、家庭が気になっている一つだけを一週間見ます。 新しい教室では、別の手がかりが本人に伝わることがあります。以前の方法へ戻す前に、本人が何を見てどこへ移ったかを園から聞きます。 家庭で変化が見えた時は、進級が原因と決めつけず、いつのどの場面かを残します。心配な変化が続く場合は、園や普段の相談先へ伝えます。 こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、移行支援と関係機関の連携を位置づけ、本人の生活が途切れないよう情報をつなぐ視点を示しています。進級前の一枚も、今の方法を固定するためではありません。続いている生活の手がかりを、新しい場で相談できる形にするためです。 ## 今日の五場面を書き始める 今日は、登園から帰宅までの五つの見出しだけを書きます。家庭で分かる本人の動きと、園から聞いている周りの関わりを一つずつ置きます。 分からない場面には「園へ確認」と書き、続けたい手がかりへ丸を一つ付けます。進級後の予定は同じ表へ入れず、別の欄へ分けます。 一日の流れを書き残す目的は、今の本人を完成した説明へすることではありません。進級で場所や人が変わる前に、家庭と園が同じ場面を見て話せるようにすることです。 ## 参考にした公的資料 この記事では、[こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」](https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/0ff6d844-e785-416a-9bbc-194938099218/583292ad/20240709_councils_shingikai_shougaiji_shien_0ff6d844_04.pdf)を確認しました。移行支援と家族支援に加え、関係機関との連携に関する記載を参考にしています。[文部科学省「幼稚園教育要領 第2章 ねらい及び内容」](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/you/nerai.htm)の生活の流れと環境に関する考え方も参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しました。