進路見学へ持っていく生活プロフィールは、本人の説明書にしません。「好きなこと」「一日の流れ」「伝わりやすい方法」「見学で確かめたいこと」の四つに分けます。右上には更新日と、今回どこで誰と見る紙なのかを書きます。

一枚は、家庭と見学先が本人について話し始めるための入口です。進路先を決める判定表ではありません。学校の個別の教育支援計画や見学先の指定書類も置き換えません。

医療や服薬の指示を伝える必要がある場合は、一枚へ小さくまとめません。食事と安全上の指示も同じです。学校や見学先が指定する方法を確かめ、必要な相手へ別に共有します。

一枚を四つの欄に分ける

白い紙を四つに分けます。左上は好きなこと、右上は一日の流れです。左下は伝わりやすい方法、右下は見学で確かめたいことです。欄の外の右上へ更新日と共有先を書きます。

これは公的な様式ではなく、見学で話す範囲を一枚へ絞るための提案です。

書くこと避けるまとめ方見学先で確かめること
好きなこと最近、本人が向かった物や時間「音楽が好き」だけで終える似た活動や選べる時間があるか
一日の流れ場所や活動が変わるところ分単位の時刻表を埋める始まりと終わりをどう知らせるか
伝わりやすい方法本人の合図と周囲の最初の動き性格や障害特性で説明する初めての人が何を見て待つか
確かめたいこと本人の暮らしと重ねたい一問見学先の優劣を問う一覧その場で見られる一場面

一枚へ診断名や支援歴をすべて移す必要はありません。見学先が提出を求める情報は、指定された書類へ分けます。この一枚では、本人とその場所が初めて出会う場面を具体的にします。

四つの欄を同じ大きさに埋めなくても構いません。分からない欄は空けます。空欄は家族が知らないことを隠す場所ではなく、学校へ相談することや見学で確かめることを残す場所です。

好きなことは本人が向かった場面で書く

最初の欄は、できないことではなく好きなことから始めます。ただし「音楽が好き」「散歩が好き」という言葉だけでは、初めて会う人がどの場面を想像すればよいか分かりません。

最近の一場面を添えます。「帰宅後、棚から同じCDを選んで再生する」「昼食後に玄関へ靴を持っていく」という書き方です。本人が何へ向かい、何を選び、どのくらい続けていたかを見た範囲で残します。

家族が「落ち着く」と考えていることと、本人が選んだことも分けます。「音楽を流すと落ち着く」ではなく、「家族が音楽を流すと、椅子に座って最後まで聞くことがある」と書きます。本人が自分で選ぶ場面があるなら、その動きを先に置きます。

好きなことを見学先の活動へ当てはめ、適性があるとは決めません。「似た音や道具を選べる時間はありますか」と聞き、実際の場面を見ます。本人が近づいたことも離れたことも、その日の動きとして持ち帰ります。

一日の流れは時刻より切り替わりを置く

二つ目の欄には、家庭の一日を細かな時刻表にせず、場所や活動が変わるところを書きます。「朝食のあと予定を見る」「帰宅後にかばんを置く」「夕食の前に休む」など、次へ移る手がかりがある場面です。

見学先で知りたいのは、家庭と同じ時間に同じ行動をするかではありません。活動の始まりと終わりが、本人へどう伝わるかです。家庭で写真を見て動くなら、その写真の役割を書きます。物を手渡すと次へ向かうなら、物と周囲の動きを組にします。

一日のすべてを載せると、見学先は重要な切り替わりを探せません。家族が手伝っている場面、本人が自分で始める場面、待つと次へ進む場面から一つずつ選びます。

家庭の流れを見学先へそのまま求める必要もありません。「活動が終わる前に、次の予定をいつどのように知らせますか」と尋ねます。同じ写真を使うかではなく、次を知る役割がその場所でどう作られるかを確かめます。

伝わりやすい方法は合図と大人の動きを組にする

「言葉での理解が難しい」「指示が通りにくい」と書くと、本人が何を見て、周囲がどう関わればよいかが残りません。本人の合図と、そのあと家族が最初にしていることを一組で書きます。

たとえば、「玄関へ行きたいとき靴を持ってくる。家族はすぐに出発と決めず、予定の写真を二つ見せる」とします。「休みたいとき隣の部屋へ移る。家族は追いかけて説明せず、入口で待つ」という形もあります。

本人の合図を一つの意味へ固定しません。「靴を持つことは外出の要求」と断定せず、よく見る場面と家族の受け取り方を分けます。初めての場所では別の理由で同じ動きをすることもあります。

見学先では、本人が選ぶために何を見せられるかを聞きます。ことばで返事をしない場合も、視線や表情だけで決め付けません。いつもの意思表示と見学中の動きを、本人を知る人と一緒に確かめます。

見学で確かめたいことを最後の欄に置く

最後の欄は、家族からの要望をすべて並べる場所ではありません。前の三つの欄から、見学先で実際に見たい一場面を選びます。

一日の切り替わりが気になるなら、「午前の活動が終わったあと、次の予定を本人へどう知らせますか」と書きます。好きなことから始めるなら、「休憩中に本人が過ごす場所や活動をどう選びますか」とします。

「本人に合いますか」とは尋ねません。一度の見学だけで、卒業後の暮らし全体を判断することは難しいためです。「誰が」「どこで」「何を使うか」を一場面で聞きます。

見学できなかったことは、悪い点として数えません。説明を受けたこと、実際に見たこと、次に確認したいことを分けます。学校での相談や別の日の体験へ戻せる質問が一つ残れば、一枚の役割を果たしています。

本人と一緒に一枚を確かめる

家族だけで書き終えず、本人が普段分かる方法で一枚を示します。文字を読まない場合は、好きな物や場所の写真を本人と選びます。写真を見せることが普段の伝え方でなければ、無理に一枚を本人へ読ませません。

本人が話せる場合は、家族の言葉をそのまま確定せず、本人が使う表現へ直します。見学先の写真や予定を見ながら、行きたい場所や気になることを選べるようにします。

ことばで選ぶことが難しい場合も、本人の前で本人について説明する言葉を確かめます。「できない」「困らせる」という言い方を、見た場面と周囲の動きへ戻します。

厚生労働省の意思決定支援ガイドラインは、本人から話を聞くことだけを意思確認としていません。日常の様子や体験の機会、関係者からの情報も使い、本人の意思や選好を確かめる考え方を示しています。見学前の一枚だけで、本人の希望を決め切らないことが大切です。

渡す前に共有先と残し方を決める

右上には更新日と共有先を書きます。「2026年7月25日更新/A見学先で本人・家族・担当者と確認」という形です。同じ紙を複数の見学先へ配る前に、今回必要な欄だけかを見直します。

文部科学省の2026年資料は、進学時の情報の引き継ぎに個別の教育支援計画等を活用することを示しています。個人情報を慎重に管理し、本人や保護者の意向を確認することも挙げています。家庭で作った一枚は、学校が扱う正式な計画や引き継ぎの代わりではありません。

見学の会話だけで使うのか、写しを渡すのかを先に尋ねます。渡す場合は、誰が保管し、見学後にどう扱うかを確認します。連絡先や学校名など、今回の会話に不要な個人情報は載せません。

本人の写真を使う場合も、見せる相手と目的を決めます。本人が写った写真を使わなくても、好きな物や場所を示せることがあります。

見学後は一行だけ更新する

見学後に一枚を全て書き直しません。本人が向かった場所、離れた場面、選んだ物を一つ残します。意味は付けず、「作業室へ入る前に入口の写真を見た」「休憩室で窓側の椅子へ座った」と書きます。

家族の印象は別にします。「楽しそうだった」「合わなそうだった」という結論を、本人の動きの欄へ混ぜません。学校や見学先から聞いた説明も、見た事実とは分けます。

更新した一行から、次の質問を一つ作ります。「写真を見たあと、活動の始まりは何で分かるか」「窓側の席は普段も選べるか」という形です。

生活は変わるため、古い紙を完成版として回し続けません。更新日を直し、古い写しの扱いも決めます。本人が選ぶ方法や一日の流れが変わった場合は、その欄だけを本人と確かめ直します。

最初は好きなことを一つ書く

まず白い紙の右上へ今日の日付を書きます。四つの欄を描き、好きなことの欄だけを使います。

本人が最近、自分から向かった物や時間を一つ思い出します。何をしたかを一文で書き、家族がどう受け取ったかは次の一文へ分けます。

最後に、その場面を見学先で何につなげて聞きたいかを書きます。他の三欄は空いたままで構いません。一枚を完成させる前に、本人と好きなことを確かめるところから、進路見学の会話を始められます。

参考にした公的資料

この記事では、文部科学省の発達障害を含む特別な教育的支援を必要とする児童生徒本人や保護者への確実な情報提供特別支援学校高等部学習指導要領を確認しました。本人の意思を確かめる考え方は、厚生労働省の障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドラインを参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しています。