卒業後の過ごし方について本人が選んだことは、「場所」「時間」「人との距離」「続けたいこと」に分けて残します。サービス名や進路の結論より先に、本人が見学や日常で示した場面を書きます。
本人だけへ進路決定の責任を渡す記事ではありません。家族や支援者の希望も必要ですが、本人の選択と別の欄へ置きます。利用手続きや支援内容は、学校と自治体の正式な案内を確認します。関係機関の案内も同様です。
日常で本人が選ぶ場面を集める
卒業後の候補を見せる前に、現在の学校と家庭で本人が選んでいることを三つ集めます。
休み時間に向かう場所、誰の近くで過ごすか、続けている好きなことなどです。表情だけで好みを決めません。
本人が手に取った物や、離れた場所も残します。選ばなかったことを否定として固定しません。
家族が用意した選択肢と、本人から始めた行動を分けます。どちらも本人の一日を考える材料です。
四つの欄へ分ける
一枚を四つへ分け、見えた場面を置きます。
| 欄 | 残すこと |
|---|---|
| 場所 | 自分から向かった所、離れた所 |
| 時間 | 始めた時、終えた時、休んだ時 |
| 人との距離 | 一人、近く、一緒にした場面 |
| 続けたいこと | 学校や家庭で繰り返し選ぶこと |
長く続けたことを良い選択としません。短い時間でも本人から選んだ場面を残します。
四つすべてを一日で埋めません。見えなかった欄は、次の見学や日常で確かめます。
見学では二つの実現可能な案を示す
候補先を見学する時は、本人が確かめられる二つを選びます。休む場所と活動場所などです。
実際には選べない案を含めません。見学日だけ可能なことは、その条件を伝えます。
写真や文字など、本人が普段使っている方法へ合わせます。新しい形式を理解できるか試しません。
どちらも選ばない場合は、返事なしを同意としません。場所を離れた、別の物を見たなどの動きを残します。
本人の選択と家族の条件を分ける
家族が確認する通所時間と送迎は、別の欄へ置きます。費用や手続きも、本人の希望へ混ぜません。
家族が実現できないと考えた案も、本人の選択から消しません。実現を難しくしている条件を別に書きます。
支援者の意見も、本人に合うという結論でまとめません。どの場面を見て、何を提案したかを残します。
文部科学省の教育支援の手引きは、本人の教育的ニーズと本人・保護者の意向を踏まえ、関係者が合意形成を図る考え方を示しています。卒業後の相談でも、異なる意向を消さず、次に確かめる場面へ変えます。
変更された選択を消さない
本人が選んだ候補が利用できない場合は、その記録を削除しません。「本人が選んだ」「利用条件を確認」「別案を探す」に分けます。
次の候補では、本人が選んだ要素を一つ引き継ぎます。静かな場所や好きな活動などです。
代替案を本人へ示す時は、最初の選択がなかったように扱いません。変更の印と次の二つを見せます。
本人が代替案から選ばない場合も、決められないと評価しません。示す時期や方法を変えます。
本人が同席しない相談でも一欄を残す
大人だけで面談する場合も、資料の最初に本人が示したことを置きます。家族の希望へ置き換えません。
本人が同席する場合は、途中で休める場所や終える方法を確認します。最後まで会話に参加することを求めません。
こども家庭庁の意思尊重の手引きは、こどもの意思を多様な方法で把握し、表明しやすい環境を整えることを示しています。ことばだけでなく日常の選択と見学での動きを残します。
本人の情報を候補先へ共有する際は、目的と共有範囲を確認します。一枚をそのまま複数先へ送らず、必要な場面を選びます。
一か月ごとに一つ更新する
進路を考える期間が長くても、毎回一枚を作り直しません。一か月ごとに新しく見えた選択を一つ加えます。
以前の選択と違う場合も、変わったことをそのまま残します。どちらが本当かを決めません。
候補先の情報が変わった場合は、公式案内の確認日を更新します。家庭の記憶で手続きを進めません。
選択の数を成果にしません。本人の一日を次に考えるため、条件と場面が分かることを優先します。
今日の選択を一つ書く
今日することは、本人が学校か家庭で自分から選んだ一場面を書くことです。四つの欄のどこかへ置きます。
家族の受け取り方と、実現に必要な条件を別にします。次に本人へ示せる二つを考えます。
本人の選択を残す目的は、本人に卒業後を決めてもらうことではありません。周囲が本人の示したことを消さず、相談や見学の次の問いへつなぐことです。場面として記録すれば、サービス名が変わっても本人が大切にしている過ごし方を考え続けられます。
参考にした公的資料
この記事では、こども家庭庁「障害児支援におけるこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き」と、文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」を確認しました。本人の意思を多様な方法で把握することと、本人・保護者の意向を踏まえた合意形成を参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しました。