就学相談の前に作る家庭メモは、できることとできないことを並べる表にしなくて構いません。四つの欄へ分けます。本人が日常で向かうものと家庭の一日、周囲がしている手がかり、相談で聞きたいことです。

この一枚だけで就学先を決めるものではありません。文部科学省は、本人・保護者の意見や必要な支援などを含む総合的な観点から検討する考え方を示しています。相談の窓口と申込時期、提出する書類は自治体によって異なります。最初に住んでいる自治体の最新案内を確認してください。

最初の一枚を四つの欄へ分ける

紙を四つに分けて見出しだけを書きます。空欄があっても問題ありません。家族が知っていることと、相談先へ尋ねることを混ぜないための紙です。

家庭で書くこと短い例相談での使い方
本人が向かうもの自分から選んだ物や場所外へ出る前に黄色い上着を持ってくる本人の興味や選び方を伝える
家庭の一日場面が変わる順番帰宅すると同じ椅子へ座って休む学校の一日と重なる場面を聞く
周囲の手がかり大人がしたことと本人の動き写真を一枚見せると玄関へ向かう似た手がかりを使えるか尋ねる
聞きたいこと家庭では分からないこと休みたいときに過ごす場所を選べるか当日の質問として一つずつ確認する

これは公的な判定様式ではありません。自治体から指定された申込書がある場合は、そちらへ求められた内容を書きます。四つの欄は、面談で家庭の話を短く思い出すために使います。

本人が向かうものを評価語にしない

最初の欄には、本人が日常で自分から向かった場面を書きます。「音楽が得意」「集団が苦手」のような評価語から始めません。何が見えたときに、どこへ動いたかを一場面にします。

たとえば、出かける前にいつも同じ上着を持ってくるなら、その動きを書きます。上着が好きなのか、外へ出たいのかはまだ決めません。「黄色い上着を持って玄関へ来た」と残せば、相談する人と意味を考えられます。

ことばで希望を話すことが難しい場合も、本人の欄を空にする必要はありません。見た方向や自分で選んだ物が手がかりになります。ただし、一度の動きを本人の希望と断定せず、よく見る場面かどうかも添えた方が良いです。

文部科学省の手引きは、子どもの行動をできる・できないだけで見ないよう示しています。どのような環境や支援があれば可能かを探る視点が大切です。家庭のメモも能力の一覧ではなく、本人へ届いている手がかりを見つける入口にします。

家庭の一日を時刻より場面で書く

二つ目の欄は、起きてから眠るまでの時刻表にしません。朝の支度や家を出る前、帰宅したあとなど、本人の過ごし方が変わる場面を書きます。

正確な時刻を埋め始めると、生活記録を完成させることが目的になりやすいです。相談前に必要なのは、学校の一日と重ねて聞きたい場面を見つけることです。「帰宅後は同じ椅子でしばらく休む」と分かれば、学校では活動から離れたいときにどう過ごすかを尋ねられます。

家族が忙しくなる時間も書けますが、本人の一日とは分けて置きます。「きょうだいの登校と送迎が重なる」は家庭側の確認事項です。「朝は静かな場所で上着を選ぶ」は本人について見たことです。同じ欄へ書く場合も、誰の場面かが分かるようにします。

手がかりは周囲がしたことまで残す

三つ目の欄には、本人へ何が伝わったかだけでなく、直前に周囲がしたことを書きます。「写真なら分かる」では広すぎます。「玄関の写真を一枚見せたあと、本人が靴を取りに行った」と場面を分けます。

反応がなかったときも失敗とは決めません。写真を見せた場所や、その前にしていたことが違えば、同じ方法でも動きが変わる場合があります。相談では「写真を使えます」と伝えるより、届いた場面と届かなかった場面を一つずつ話した方が具体的です。

手を引く、物を渡すなどの関わりも、家庭では自然に行っていることがあります。本人が一人でできるように見える場面でも、周囲が先に準備していることは少なくありません。その働きかけまで書くと、学校で必要になりそうな支援を相談する材料になります。

医療上の指示や安全に関わる情報は、この欄だけで伝え終えないでください。自治体や学校が示す正式な書類と確認方法を使います。

家庭で決められないことを質問へ移す

四つ目の欄には、就学先への希望ではなく、家庭だけでは答えが出ないことを書きます。「静かな場所が必要です」と結論にする前に、「活動から離れたいとき、どこで誰に伝えますか」と質問へ移します。

質問は一度に増やしすぎません。四つの欄を見て、本人の一日に最も影響しそうな場面を一つ選びます。次に家庭の朝夕と重なることを一つ選びます。残りは相談中に新しく分かったことを見てから足します。

相談で受け取った説明が、本人の場面へつながらないこともあります。そのときは「家ではこの写真を見せると玄関へ向かいます。学校では次の活動をどう知らせますか」と聞き直します。家庭の方法をそのまま学校へ求めるのではなく、似た役割を持つ手がかりがあるかを確かめます。

正式な書類と家庭メモを分ける

就学相談の入口は全国で一つではありません。2026年度の案内では、横浜市は特別支援教育総合センターへの電子申請または郵送を案内しています。大阪市は通学区域の小学校・義務教育学校への連絡を案内しています。

申込時期や提出資料も異なります。検索で見つけた別の自治体の一覧を使わず、住んでいる自治体の公式ページで次の四点を確認します。

検査結果や園の記録を手元に持っている場合も、すべてを家庭メモへ写す必要はありません。提出を求められているかを確認します。本人と家族の個人情報が含まれるため、送付方法と共有される範囲も公式案内や窓口で確かめた方が良いです。

自治体の書類に同じ項目があるなら、その内容を優先します。四つの欄は追加書類として無断で送るためではなく、家族が相談で話す順番を保つための手元のメモです。

相談後は分からなかったことを残す

相談が終わっても、四つの欄を完成させなくて構いません。説明を聞いて分かったことの横へ日付を書きます。まだ想像できない場面には、次に誰へ聞くかを短く残します。

学校見学を案内された場合は、施設や制度の名前だけを比べません。授業から休憩と移動をたどり、昼食や家庭との連絡まで同じ順番で見ます。その準備は次の記事で扱います。

就学前の相談は、一度で本人の長い学校生活を決め切るための発表ではありません。文部科学省も、学校見学や体験入学、面談などを通して必要な支援を検討する流れを示しています。家庭メモは、その過程で本人の日常を見失わないために更新します。

今日の一場面を一行書く

まず四つの欄だけを紙に書きます。今日、本人が自分から向かった物や場所を一つ思い出し、見たままの動きを最初の欄へ入れます。

意味はまだ付けません。その前に家族が何か見せたり、声をかけたりしていれば三つ目の欄へ分けます。学校で同じような場面をまだ想像できないなら、四つ目の欄へ質問として移します。

一場面を観察と周囲の手がかりへ分けます。そこから質問が生まれれば、相談で話す最初の一枚になっています。

参考にした公的資料

この記事では、文部科学省の障害のある子供の就学先決定について障害のある子供の教育支援の手引を確認しました。地域による相談窓口と手続の違いは、横浜市特別支援教育総合センターの相談窓口大阪市の就学・進学相談を参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しています。