写真カードを最初に5枚作るなら、大人が次の行動を伝える3枚と、本人が自分から伝える2枚に分けてみます。予定を見せるだけの道具にせず、子どもから家族へ伝える方法も同じところから用意するためです。

ここでいう5枚は、公的に決められた数ではありません。最初から家中の予定を写真にせず、家族が実際に使える範囲で試すための目安です。写真より実物や絵、身ぶりの方が分かりやすい子もいます。

5枚を一方向の予定表にしない

家族が見せるカードだけを揃えると、写真カードは指示を伝える道具になりやすいです。最初の5枚にも、本人が「したい」「やめたい」と伝えられる役割を残しておいた方が良いかと思います。

固定するのはカードに書く言葉ではなく、次の5つの役割です。家庭で実際に起きる場面へ置き換えて選びます。

役割写真の候補選ぶ基準
次の行動を伝える1枚目食卓や食事で使う物ほぼ毎日あり、写真を見せたあとすぐ始められる
次の行動を伝える2枚目靴を置く玄関や通園かばん家族が声を重ねすぎやすい場面で使える
次の行動を伝える3枚目浴室や着替えを置く場所始まりと終わりを同じ場所で確認しやすい
本人から伝える1枚目好きな飲み物や遊び本人がすでに手を伸ばすなどして伝えている
本人から伝える2枚目休む場所やおしまい箱休憩や拒否を家族が受け取れる

この例をそのまま使う必要はありません。お風呂で写真をほとんど見ないなら、別の場面に替えます。本人がよく家族の手を引いて冷蔵庫へ行くなら、飲み物の写真を先に作る方が使う場面を想像しやすくなります。

国立障害者リハビリテーションセンターは、コミュニケーションにはさまざまな方法があると説明しています。ことばのほか、視線や表情を使うこともできます。身ぶりや実物、絵や写真も方法の一つです。カードを使う前から出ている本人の伝え方を、写真へ置き換えるのではなく一緒に使うことが大切です。

本人が見分けられる写真にする

写真には、家族がきれいだと思う構図より、本人が普段見ている物や場所を写します。「ごはん」なら料理を毎回撮り分けるより、いつも座る食卓や使う食器の方が同じ意味を保ちやすい場合があります。

背景に別の物が多く写ると、どれが手がかりなのか家族にも分かりません。まずは対象を一つに寄せて撮ります。子どもの顔や名前を入れなくても、生活の場所は十分に表せます。

写真の下には、家族が声に出す短い言葉を一つ添えます。「そろそろごはんの時間だから手を洗って椅子に座ろう」ではなく、カードを見せて「ごはん」と伝えます。カードをことばの代わりにするのではなく、写真と同じ短いことばを重ねます。

こども家庭庁の保育資料でも、カードの大きさや素材に決まりはなく、本人に合ったものを使うとされています。家庭用なら、最初から印刷やラミネート加工を揃えなくても構いません。スマートフォンの写真を見せた方が伝わるか、紙の方が手に取りやすいかを先に確かめます。

カードは使う場所へ置く

5枚が完成しても、一冊のファイルへしまうと使うたびに探すことになります。次の行動を伝える3枚は、その直前に家族が立つ場所へ置きます。食事のカードなら冷蔵庫の近く、外出なら通園かばんの近くという考え方です。

本人から伝える2枚は、本人の手が届き、家族も気づける場所に置きます。家族が管理しやすくても、本人が取れない棚の上では自分から使えません。その子が今できる示し方で受け取ります。カードを持ってくるだけでなく、触れたり見たりすることも伝え方です。

家族の返し方も揃えます。休むカードが使われたら、すぐ休めない場合でも反応を返します。「今は休めない」とカードを片付けるだけでは、伝わったかどうかが本人には分かりにくいためです。「これが終わったら休もう」と次の見通しを短く伝えます。

反応が薄いときは増やす前に減らす

写真を見なかったからといって、本人が写真カードを使えないとは限りません。見せる時期が早すぎたのかもしれません。写真と実際の場所が結びつきにくいことや、家族の説明が長くなっていることも考えられます。

その場合は新しいカードを足さず、一番使いやすい1枚だけ残します。実物を一緒に見せる、写真を撮り直す、使う場所を変えるという順で確かめます。本人へカードの意味を当てさせる必要はありません。写真を見たあとに同じ出来事が始まることで、何を表しているのかを少しずつ確認できます。

嫌がってカードを払いのける時は、その反応も本人からの伝え方です。何度も見せて慣れさせようとせず、その場では止めます。園や支援先ですでに使っている方法があれば、実際のカードを持参して家庭での見せ方を相談した方が揃えやすくなります。

明日使う1枚から始める

5枚を一度に完成させなくても大丈夫です。最初に、明日も同じ場所で起きることを一つ選びます。カードを見せた直後に始められ、家族が忘れず置ける場面が向いています。

その1枚を数回使うと、どこを直せば良いかが見えてきます。写真が伝わりにくいのか、置き場所や声のかけ方に無理があるのかを順に確かめます。うまくいったかを本人の正解・不正解で決めず、家族とのやり取りが一つ増えたかを見ます。残りの4枚は、その確認ができてから作っても遅くありません。

参考にした公的資料

この記事では、こども家庭庁「障害のある幼児と共に育つ生活の理解と指導」を確認しました。国立障害者リハビリテーションセンター「支援方法の学習」同センター言語聴覚士の「ことばを育てる」も参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しています。