好きな遊びを知りたいときは、新しい玩具を増やす前に、本人が今選んでいる遊びを三日だけ見ます。遊んだ長さではなく、始めた場所を記録します。手にした物と、そばにいた人の関わりも残します。
長く続く遊びが優れているという意味ではありません。短い時間で別の遊びへ移ることも、同じ動きを繰り返すことも、本人が選んでいる過ごし方として見ます。この記事では発達を促す遊びや訓練を選ばず、家庭で本人の選び方を受け取りやすくする記録に限定します。
本人が始めた場面を一つ選ぶ
三日間すべての遊びを記録すると、家族の負担が大きくなります。朝や帰宅後など、家族が見やすい時間を一つ選びます。夕食前でも構いません。
見る場面は、家族が遊びを勧めた時ではなく、本人が物や場所へ近づいた時から始めます。玩具を手に取るだけでなく、窓の外を見ることや布を触ることも含めます。
遊びかどうかを先に決める必要はありません。本人が自分から始め、少しでも戻ってきた場面を一つ残します。何も選ばなかった日は「選ばなかった」と書けば終わりです。
家族が一緒に始めた遊びしかない日もあります。その場合は、誘った人と使った物を書きます。本人から始めた場合と混ぜなければ、どちらも記録にできます。
時間ではなく三つの条件を書く
遊び始めた時刻と終わった時刻を正確に測るより、その時にあった条件を三つに分けます。「場所」「物」「人の関わり」です。
場所には、居間の敷物の上や窓の近くと書きます。物には、積み木三個や空の箱など、実際に触れた物を書きます。人の関わりには、家族が隣に座った、声をかけずに見ていたといった事実を残します。
| 見る項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 場所 | 居間の窓の近く |
| 物 | 青い積み木を二個 |
| 人の関わり | 家族は少し離れて見ていた |
「集中できた」「楽しそうだった」だけでは、翌日に同じ条件を用意しにくくなります。笑ったことや、同じ物へ戻ったことを残します。家族の手を引いた場合も、見えた動きとして書けます。
途中で離れても記録を終わりにしない
本人が別の場所へ移った時点で、遊びが終わったとは限りません。水を飲んだあと同じ物へ戻る場合もあります。家族が片づけるまでは、戻ったかどうかだけ見ます。
戻らなかった日も失敗ではありません。遊びが続かなかった理由を推測せず、離れる直前に何が変わったかを書きます。人が入ってきた、音が鳴った、別の物が見えたといった変化です。
途中で家族が手を加えた場合も、その事実を残します。積み木を並べ直した、別の使い方を見せたなどと書きます。関わったことを反省するためではなく、本人だけで選んだ時との違いを見るためです。
一度離れた回数や遊んだ分数を目標にしません。本人が戻った条件があれば、翌日に残してみる候補にします。
三日分から同じ条件を一つ探す
三日が終わったら、毎回出てきた条件を一つ探します。同じ窓の近くを選んだことでも構いません。青い物を手にした、家族が離れている時に戻ったといった小さな共通点も候補です。
三日とも違う場合は、好きな遊びが分からなかったと結論を出しません。今週は選び方が違ったと考え、最も用意しやすかった条件を一つだけ残します。
物の種類が同じでも、本人の動きが毎回違うことがあります。積み木を積む日と並べる日を、別の遊びとして評価する必要はありません。本人が選んだ使い方としてそのまま書きます。
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、本人の興味や関心に合わせた遊びや環境の大切さを示しています。文部科学省の幼稚園教育要領も、幼児が自ら関わる環境と主体的な活動を重視しています。家庭での三日間の記録は、特定の遊びに発達上の効果があると判断するものではありません。
残す条件と変えてよい部分を分ける
共通する条件が見つかったら、翌週も一つだけ残します。窓の近くが共通していたなら、同じ場所を空けておきます。使う物や家族の声のかけ方まで全部固定しません。
本人が別の場所や物を選んだ日は、元へ戻そうとせず新しい選択を優先します。三日間の記録は本人の好みを決める一覧ではなく、家族が用意できる手がかりです。
きょうだいや家族が同じ場所を使う日もあります。本人の遊びを常に優先するのではなく、使える時間を分ける方法も考えられます。家族全員が無理なく残せる条件かを見ます。
急に遊ばなくなった時は、興味がなくなったと決めつけません。生活の変化や本人の様子を短く残し、気になる変化が続く場合は園や普段の相談先へ伝えます。
今日の一場面を三行で残す
今日は一日中記録せず、本人が何かへ近づいた一場面だけを選びます。場所、物、人の関わりを一行ずつ書いて終わりにします。
同じ時間帯で三日続けたら、繰り返し出てきた条件へ丸を一つ付けます。翌週に残すのは、その一つだけです。
この記録の目的は、長く遊べるようにすることではありません。本人が今選んでいる過ごし方を、家族が急いで変えずに受け取るためのものです。
参考にした公的資料
この記事では、こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」を確認しました。本人の興味や関心に加え、遊びと環境に関する記載を参考にしています。文部科学省「幼稚園教育要領 第2章 ねらい及び内容」の環境と主体的な活動に関する考え方も参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しました。