表情や視線の違いは、気持ちの名前を付ける前に「前の出来事」「本人の動き」「周りの応答」「その後」へ分けます。一週間だけ同じ書き方を使い、本人が伝えようとした場面を探します。

視線が合う回数や表情の種類を増やす記事ではありません。目の動きだけで同意や拒否を決めず、声や姿勢など同じ場面で見えたことも残します。急な体調変化がある場合は、観察メモより適切な相談を優先します。

記録する三つの場面を決める

一日中観察するのではなく、繰り返し起きる三つの場面を選びます。食事の前と遊びの途中、外出から戻った時などです。

家族が意味を知りたい場面を一つ入れます。残り二つは、本人が自分から動き始めることが多い場面にします。

同じ時刻へそろえる必要はありません。活動の前後が同じなら、本人の一日の中で比べやすくなります。

三つより増やしたくなった時は、最初の一週間が終わるまで待ちます。記録量を増やすと、見る人の負担が先に大きくなります。

四つの欄へ事実を書く

用紙は四つの欄に分けます。家族が受け取った意味は、本人の動きと別にします。

書くこと
直前に見せた物や始まった活動
本人視線の先、表情、声や体の動き
周り誰が何を見せ、どう待ったか
その後本人が向かった所や続いた活動

「うれしそう」と書いた時は、そう受け取った動きを隣へ置きます。口元が変わった、同じ物へ手を伸ばしたなどです。

表情が変わらなかった日も空欄にしません。「見えた変化なし」と書けば、家族が見落としたと責めずに済みます。

視線の先を一つ確かめる

本人が人の顔を見ていない時も、別の物を見ている場合があります。目を合わせるよう求める前に、視線の先を一つ確かめます。

見ていた物が分からない場合は、推測を並べません。本人の体の向きと、その後に触れた物だけを残します。

同じ視線でも、周りの人や場所が違えば意味は変わるかもしれません。以前の記録から意味を固定しない方が良いです。

本人が視線を外した時も、拒否と決めません。待つ時間を置いた後に何をしたかまで見ます。

家族の応答を一つだけ変える

記録の途中で試すことは一つにします。本人が見た物を二つの選択肢として近くへ置くなどです。

声のかけ方と物の位置を同時に変えると、どの違いが関係したか分かりにくくなります。一日目と同じ応答も残します。

本人が選ばなかった場合は、選び方が分からないと評価しません。見せる時期や距離が合わなかった可能性もあります。

選択肢へ危険な物や実際には選べない物を入れません。本人が選んだ後に実現できる二つを用意します。

家族ごとの受け取り方を並べる

同じ場面を見た家族が違う意味を受け取ることがあります。どちらかへ統一せず、受け取った人の名前を付けます。

「母には休みたいように見えた」「父には別の遊びを探しているように見えた」と分けます。本人の意図として確定しません。

次に本人へ見せる物は、二つの受け取り方から一つずつ選べます。本人の動きが変われば、新しい場面として残します。

家族の意見をそろえることが目的ではありません。本人へ返す選択肢を増やしすぎず、確かめられる形にすることが目的です。

支援者へ三行で渡す

支援者へ共有する時は、一週間分をすべて送らない方が良いです。繰り返し見えた一場面を三行へします。

一行目に場面、二行目に本人の動き、三行目に家庭の応答を書きます。家族が受け取った意味は「家庭では」と条件を添えます。

支援先でも同じ意味だと決めません。「そちらではどう見えるか」を尋ね、場所ごとの違いを残します。

こども家庭庁の意思尊重の手引きは、ことばだけに限らず日常の様子から意思を把握する考え方を示しています。家庭の記録も、本人の意思を代弁する結論ではなく次に確かめる材料として渡します。

一週間で記録を閉じる

七日目になったら、新しい欄を増やさず三つの場面を読み返します。繰り返し見えたことを一つ選びます。

毎回違った場合も、記録が失敗したわけではありません。場所や周りの人で変わることが分かります。

記録を続けるなら、三つの場面から一つだけ残します。家庭の負担が大きい場合は、次に気づいた時だけ書く方法へ変えます。

表情や視線の記録は、本人の気持ちを家族が正しく当てるためのテストではありません。見えたことと受け取り方を分け、本人へ返せる二つを考えるための一週間です。

参考にした公的資料

この記事では、こども家庭庁「障害児支援におけるこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き」と、こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)」を確認しました。ことば以外の方法や日常の様子から意思を丁寧に把握し、表明しやすい環境を整える考え方を参考にしています。いずれも2026年7月25日に参照しました。